東京事変のアルバムは、どれをとっても違う方向に良さがあり、個人的には「スポーツ」が一番ロックアルバムとしてバンドが完成されている印象がある。
東京事変の音楽が少し難しそう、周りくどそうというイメージのある人には特にお勧めしたい1作だ。
J-POPに落とし込んだグルーヴ
東京事変の何よりの醍醐味といえば、圧倒的な演奏能力・作曲能力からくる最高のグルーヴだろう。
メンバーがそれぞれプレイヤー・プロデューサーとして活躍しており、誰を先頭に置くこともなく、互いに違うベクトルに引っ張り合いながらその中心に素晴らしいモノを生み出す。
今作も、作曲には全員が携わるという形で作られていて、いい意味でアルバムに統一感がない。伊澤さんの曲は、とにかくキャッチーなメロディが響く。亀田さん作曲の「閃光少女」は、さすがとしか言いようのないキラーチューン。
このアルバムではそのグルーヴ感を、ロックの枠組みに落とし込んでいるという印象だ。わかりやすくてノリやすいのに、どこか予想とズラされる感じがする。『電波通信』や『乗り気』は特にそう感じる。
これだけのグルーヴの重量感をくらえば、脳みそが疲れてしまいそうなものだけれど、「スポーツ」はサクッと聴けるし耳馴染みがいい。
これは、東京事変の全作品に言えることだが、やはりJ-POP界のエリート達が集まっているだけあって、どれだけテクニックやグルーヴを見せられても、J-POPとしてすんなり受け入れることができるのが素晴らしいと思う。
そしていつもながら、椎名林檎の綴る歌詞は文学的でとても面白い。
作品情報
作品名 | スポーツ |
作者 | 東京事変 |
レーベル | Universal Music |
発売年 | 2010年2月24日 |
収録 | 1:生きる 2:電波通信 3:シーズンサヨナラ 4:勝ち戦 5:FOUL 6:雨天決行 7:能動的三分間 8:絶体絶命 9:FAIR 10:乗り気 11:スイートスポット 12:閃光少女 13:極まる |
東京事変、5 枚目となるアルバム『大発見』
タイトル「大発見」を制作コンセプトに個性豊かなメンバー各々が未開の扉を開け、新境地を感じさせる珠玉のニュ ーアルバム。