2018年に発表した1枚目「AINOU」では、音楽関係者や評論家から高い評価を受け、2021年には映画「竜とそばかすの姫」にも出演するなど、世間からの注目を多く集めた中村佳穂。
彼女の新作「NIA」は、プレッシャーや力みを全く感じさせない、いい意味で力の抜けた素晴らしい作品だった。
肩の力を抜き、ただ「音楽」を楽しむ
「Hi my name is Kaho!」そんな言葉からこのアルバムが始まる。
まるでポエトリーリーディングのように流れる1曲目『KAPO』を聴くだけで、このアルバムに対する彼女の姿勢が伝わってくる。
そこには人気者のプレッシャーなど一切感じさせない、みんながよく知っている「ただただ音楽を楽しんでいる中村佳穂」の姿があった。
こんなにも「適当」や「投げやり」と言う言葉が、褒め言葉になるアルバムがあるのだろうか。
そんなことを考え、思わず口角が上がってしまった。
2曲目『さよならクレール』では、ドラマーに石川駿を迎えて、日本語詞をグルーヴィーに歌い上げる。
『Q日』はタイトルに相応しい脱力感とファンキーなリズムが混同した1曲になっているし、『ブラ~~~~~』は、出だしのクラシック的なアプローチが一変、Hip-Hop調になるのが面白い。
どの曲をとってもアイデアに柔軟性が感じられ、聴いているのが楽しくて仕方ない。
『MIU』ではその音の広がりから、壮大なスケールを感じさせてくれる。
1作目の『そのいのち』や、millennium paradeとの共作である『U』と同じように、大きな空間に映える彼女の歌声はとても魅力的だ。
満を辞して発表された2作目「NIA」は、肩の力がよく抜けた傑作になっている。
作品情報
作品名 | NIA |
作者 | 中村佳穂 |
レーベル | SPACE SHOWER MUSIC |
発売年 | 2022年3月23日 |
収録 | 01.KAPO✌ 02.さよならクレール 03.アイミル 04.voice memo #2 05.Hey 日 06.Q 日 07.ブラ 08.祝辞 09.MIU 10.Hank 11.NIA 12.voice memo #3 |
第1作「AINOU」で高い評価を受けた中村佳穂、待望の2作目。
ゲストに石若駿、君島大空を迎えた全12曲収録の傑作。
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