エモの壁/マイ・ケミカル・ロマンス『The Black Parade』【感想・レビュー】

欠伸をしても一人、咳をしても一人。

とはいえ、軽い気持ちで咳の一つもできないこのご時世である。

学校の全校朝会でみんなが一斉に咳をしだすあの現象はもう起こらないのだろうと考えると少し寂しいものを感じる。

高校を卒業してからまだ少しの時間しかたっていないのに、もう10年も前のことの様だ。

まぢエモい。

人はエモを目の前にしたとき、途端に語彙力を失う。

エモが作り出す世界観に取り込まれると人は、「エモい」か「やべぇ」しか言えなくなってしまうのである。

少し頭のいい人になると「尊い」か「趣がある」ぐらいまでは言えるかもしれない。

アメリカのロックバンド「マイケミカルロマンス」は、エモという音楽ジャンルに分類される事が多いが、本人たちはそれを『fucking garbage (ゴミクズ)』と呼んでいるらしい。

自分はファンとして、そんな彼らの思いに賛同したいと思っている。

なんせ彼らの代表曲「Welcome To The Black Parade」は最高にやべぇのだから。

パレードを想像させる様なエモいイントロから始まり、だんだんとスピードを持って進んでいく曲の展開は非常に趣がある。

それに加えて歌詞も尊いときたら・・・

あれ?

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マイ・ケミカル・ロマンス『The Black Parade』

「死」をテーマにおいたコンセプトアルバムで、マイ・ケミカル・ロマンスのキャリアにおいて、1番の傑作。

このアルバムから感じられる構成美は面白く、コンセプトアルバムの名盤としてあげられるビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」やピンクフロイドの「狂気」をリスペクトしているというのもよくわかる。

アルバムのストーリーとしては、若くして癌を患ってしまった男が、自分の記憶や死への恐怖と向き合いながら、もう一度「生」への渇望を見出すといったもの。

リード曲は「Welcome To The Black Parade」。

爽快ポップパンクのこの曲は、なんとも言えない感動的な雰囲気を持つ。

サビの歌詞はこのアルバムのコンセプトを表す様だ。

パンク色の強い楽曲からピアノバラードまで、様々なバリエーションの曲を散りばめた作品で、アルバムの中で展開されていく物語はまるでオペラのよう。

2000年以降の洋楽ロックで、絶対に外すことのできない名盤だろう。

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