映画『パラサイト 半地下の家族』 互いに依存しあう関係【感想・ネタバレ】

この前初めて一人映画に行ったんだけど、とても良かった。没入感が全然違う!

という事で今回は話題の『パラサイト 半地下の家族』をついに見てきたので、感想とか思ったことを書いていきたいと思う。

※感想はネタバレを含むものになるので、まだ見たことのない人はぜひ見てから戻ってきてくださいネ!

【視聴後の一言メモ】

安定した生活だけどどこか不安定な家族。
そこに付け込む不安定な生活の安定した家族。
面白くて映画館で奇声を上げそうになった。

お気に入り度:★★★★☆

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作品情報

第72回カンヌ国際映画祭で最高賞!『パラサイト 半地下の家族』予告編
http://www.parasite-mv.jp/

『パラサイト 半地下の家族』2019年/132分/韓国
監督 ポン・ジュノ
脚本 ポン・ジュノ/ハン・ジンウォン
製作 クァク・シネ/ムン・ヤングォン/ポン・ジュノ/チャン・ヨンファン
出演者 ソン・ガンホ/イ・ソンギュン/チョ・ヨジョン/チェ・ウシク/パク・ソダム
音楽 チョン・ジェイル

解説

第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールの受賞。第92回アカデミー賞で作品賞を含む最多4部門を受賞した作品。

監督のポンジュノは「スノーピアサー」「オクジャ」なども手掛ける。

スノーピアサーは見たけど、格差を独特な設定で描いた面白い作品だった。

【あらすじ】
過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。美大を目指すが上手くいかず、予備校に通うお金もない娘ギジョン… しがない内職で日々を繋ぐ彼らは、“ 半地下住宅”で 暮らす貧しい4人家族だ。

“半地下”の家は、暮らしにくい。窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。電波が悪い。Wi-Fiも弱い。水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。家族全員、ただただ“普通の暮らし”がしたい。「僕の代わりに家庭教師をしないか?」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。“受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸だった——。

パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“ 高台の豪邸”で暮らすパク一家。この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。          
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感想・ネタバレあり

まず全体の感想としてすごく面白かった。

見る前のイメージとしては、半地下に住んでいる貧しい人と富裕層との貧富の差を描いた作品なのかなくらいにしか思っていなかったけど、そんな生ぬるい映画ではなかった。

でもところどころにブラックジョークみたいなのが散りばめられていて、笑ってしまった記憶も数多く残っている。

実は韓国映画は見るのが初めてだったんだけど、シンプルに演者さんたちの演技もよくて見ごたえがあった。

描かれる貧富の対比

冒頭のシーンから描かれる半地下での生活、貧しい生活だけどユニークで仲が良く見えるキム一家。家族みんな職に就けていないが内職をして何とか暮らしている感じだ。

そこに息子ギウの友人であるミニョクから、「自分の代わりに家庭教師をやらないか?」という持ちかけがあり物語が進んでいく。

家庭教師先は富豪のパク一家のところで、自分が半地下に暮らしているという事は隠したまま仕事をすることになる。そのあとも家族ぐるみでパク一家に寄生していく展開になっていくんだけど・・

最初に訪問するシーンでパク家の前の道がそうとう急な上り坂になっているのだが、自分はなんとなく「こんなに急な坂道ある?」なんて思いながら見ていたけど、今考えてみると格差を目に見えて表現するためのものだったんだなと思う。

他にも、半地下は外からの光があまり入ってこないのに対し、パク一家の庭には強い太陽の日がさしているシーンが印象的に表現されていたり、大雨が降ったシーンではさっき言った急な坂を水が下っていって、家のあたりは洪水で大変なことになるというシーンがあったりと他にもさまざまなところに対比の表現が散りばめられていたように思う。

交わる2つの対照的な家族

これは映画の序盤から結構思っていたことなんだけど、生活が不安定な半地下の家族でも食卓には常に笑顔があり、どこかどっしりと構えたような安定感がある、そんな風に見えた。

逆に雇う側になる裕福な家庭のパク一家は、生活は安定も安定だけど、夫は社長で毎日忙しく、娘は受験期で反抗期気味、息子は母親の前で言うことの利かないやんちゃな子供をわざと演じてて、母親に関しては天然で疑うことを知らず付け入るスキだらけの不安定な家族という印象だった。

金銭面で依存していくしかないキム一家と対照的に裕福なパク一家もまた、ドライバーや家政婦家庭教師といった面で他に依存していくしかないというところが、この物語の軸であり面白いところだった。

「象徴的」や「計画」といったキーワード

映画を見ている中で気になるのは繰り返し使われた言葉の「象徴的」や「計画」といった言葉だ。

序盤、ギウの友人であるミニョクから山水景石をプレゼントとしてもらうシーンで、受け取ったギウが「象徴的だ」と発した時からこの「象徴的」という単語が頭から離れなかった。

そこからもたびたび「象徴的」というワードが出てくるんだけど、この解釈がずっと難しかった。

今考え始めるとますますよくわかんなくなってきたけど、そこにまた面白さを感じるというか、シンプルに映画の中で使われる「象徴的」という言葉に惹かれていったところはあったんだと思う。

またこの山水景石が物語でのキーアイテムになってくる。

もう一つ、よく使われたのが「計画」という言葉。

キム一家が何か行動を起こそうとするたびに「次の計画は?」とか「計画がある」とか言っていて、こんな表現からもキム一家がある種安定しているような感じがした。

最後には「計画は無計画なことだ」という言葉が出てきて、人間らしさを感じるシーンだった。

1匹いたら100匹いる

映画の中でだんだんと悲劇が展開されていく段階で、もう一つの真実である「パク一家の地下室に元家政婦の旦那がずっと暮らしていた」という事が明らかになる。

実はもう一家パラサイトしていたのだ。

元家政婦夫婦の旦那はパク社長のことをリスペクトしており、ずっとセンサーで電気がついていると思っていたのが実はその男が地下で操作していたなんて言う事実も発覚する。その後に電気を使ってモールス信号を発信していたことも分かって、それが分かったときは顎が外れたぐらい口が開いてしまった・・

地下にずっと住んでいたという事が、現家政婦であるキム家の母チュンスクにばれてしまった時、元家政婦から「私たちって一緒ですよね」みたいなことを言われたときに「一緒にするんじゃないよ」と返した時には、もうキム一家は地下に住むものを見下してしまうようになっていたというのも面白かった。

半地下の匂い

この映画で登場人物たちが、明確には感じていないけども匂いとして格差を感じるシーンがある。

一番初めに気付いたのは、パク家の息子で運転手と家政婦、そして家庭教師の匂いが同じだという事を言い出す。

半地下に戻った家族は「柔軟剤を全員別にするか?」なんて話し合いもしていたけど、娘が「これは半地下の匂いだ、ここから出れば消える」といったことからこの匂いは表面的なものではなく、感覚的な何かなのかなと思う。

ラストの緊迫したシーン、逃げなければならないシーンでパク社長が鼻をつまむ光景をみた父のギテクはパク社長を殺してしまう。

この匂いの表現も探してみたらいろいろな場面で隠されていたのかもしれないと今考えるとあったのかもしれない。

まとめ

この作品の感想を書くのはすごく難しかった。今度ゆっくり感想を誰かと語り合いたい気分だ。

何よりこの映画で不思議だったところは、登場人物の誰も悪者に見えないところ。

衝撃的な映画で、すぐには見に行く気が起きないけど、もう少したったら見に行きたくなるかもしれない。

ポンジュノ監督のほかの作品も見てみたいと思う。

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