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東京事変 新作EP『ニュース』がらしさ全開で最強すぎる【感想・レビュー】

2020年の元旦から8年ぶりに動き出した『東京事変』。

自分が東京事変を聴くようになったのはちょうど去年からで、それまで聞いたことがなかった素晴らしい音楽にすっかりハマってしまった。

そんな東京事変の新作EP『ニュース』がリリースされた。

聞いてみたところ、相変わらず凄まじい最強っぷりだったので詳しくレビューしていこうと思う。

東京事変らしさは健在

そもそもの話、東京事変のどこがそんなに好きなのかということを説明しておきたいと思う。

まずはメインボーカルが椎名林檎ということはある。

椎名林檎の歌声がこれまでいろんな人を虜にしてきているその一人に自分も入っているわけで、椎名林檎が歌ってればまあいい曲になるに違いないという安心感がある。

東京事変の曲はメンバーそれぞれが作曲に携わり、編曲東京事変として世に送り出している。

それで何が起こるのかというと、1つの東京事変というバンドの中で少なくても5つの個性の曲があり、それが編曲によって東京事変らしい音楽となる。それぞれがその楽器の超プロフェッショナルであり、いいところを足したのではなく掛けたようなパワーのある曲が出来上がる。

このEPではそれがまさしく現れていて、収録されている5曲はメンバーそれぞれが1曲づつ作曲を担当したものになっている。

個性がぶつかってまとまる音楽

1曲目の「選ばれざる国民」は2020年の元旦に東京事変の復活とともに発表された楽曲で、浮雲さん作曲。

林檎さんと浮雲さんが半々ぐらいの割合でボーカルを務め、代わる代わるにコーラスに入っているこの曲はかなり言葉で表すのが難しいけど逆に言えば不思議な雰囲気を持った曲だということも言える。

4ヶ月程の間、ちょいちょい聴いているけど口ずさんでと言われるとできないかもしれない。ただ、印象が薄いというわけでは決してない。

独特の雰囲気を感じさせるのは、キーボードの「もわぁん」みたいな音色だったりギターの細々したメロディだったりするんだと思う。ギタリストの浮雲さんらしくギターの音が特徴的な曲になっていると思う。

圏外も炎上中 刺し違える群衆
善意ほど一瞬で悪意に代わる
熱心なファン 辛辣なアンチ
センセーション飽きたらない

前半部分の歌詞はおそらくSNSのことを指していて、東京事変が現代に降り立った感をすごく感じた。

2012年に東京事変が解散を発表したのがその年の「閏日」で、その後もいろんなところで伏線的に使われてきた「閏年」。東京事変にとって「うるう」という言葉がどんな意味を持つのか、そんなうるうが曲名に詰め込まれた2曲目の「うるうるうるう」はキーボードの伊澤さんが作曲を担当。

伊澤さんの曲の中で自分が好きなのは「キラーチューン」とか「絶体絶命」とかで、耳馴染みのすごくいい聴いていて気持ちいいメロディが持ち味だと思う。

「うるうるうるう」に関しても本当にその通りで、サビがすごくキャッチーでこのEPを一通り聴いた後に特に印象に残っていたのはこの曲のサビ部分だった。

自称美しい人は
より美しくそうでない方は
それなりに皆、閏え!

もちろん林檎さんの作詞のセンスも光っている。

4曲目の「猫の手は借りて」はドラムの刄田さん作曲の曲。

刄田さんの作曲はあまりイメージが沸かなかったんだけど、一番ダイナミックな印象を受ける曲ですごくよかった。

日本語でも接続詞とかから次の単語をなんとなくで連想できるように、曲を聞いているとたまに頭の中で、「あーそう動いたら次はここに落ち着くよね」みたいな感覚があるんだけど、東京事変の曲は結構な確率でそれを裏切ってくるから聴いていてすごく面白く感じる。

例えるなら「今からジャンプするからみてて」と言われて、ジャンプ力あるのかなこの人とか思いながら眺めてたら、相手がジャンプした後空中で5秒間浮き始めたみたいな感覚です。

やばくね?目ん玉おちるでよ。そういう事です。

グルーブ感が最高

曲を聴くときに結構大事にしてるのが「グルーブ感」みたいなもので、グルーブ感の正式な意味もよくわかっていないんだけど、自分が思うには即興演奏みたいなノリの良さというかいい意味で気の少し抜けたような感じがとてもカッコ良い。

東京事変の曲でいうと「勝ち戦」とかはそんなイメージが強くてすごく大好きな曲。

それぞれの楽器が支えたり支えられたりというよりは、それぞれの楽器が違うベクトルで最高に目立ちに行っていて結果的に力の働く方向が同じになっているみたいなのが東京事変のイメージ。

ベースの亀田さん作曲の「現役プレイヤー」はベースのメロディがハンパなく良くてグルーブ感も最高にいい。自分が東京事変で一番大好きな「透明人間」の作曲も亀田さんで、もちろんベースのメロディがすごく良いし共通してサビのメロディがキャッチーなところも好き。

「永遠の存在証明」ではなく「永遠の不在証明」というタイトルからして好きなラストの曲は林檎さんが作曲を務める。コナンの映画の主題歌でもある。

サビの楽器隊の勢いも凄まじいけど、林檎さんの歌声も負けないくらいかっこいいから結果的にピタッとハマる。

グルーブ感がどうこうという以前に、曲の最後にジャズセッションみたいなパートを持ってくるもんだからもうこの最強集団じゃなければ作り上げることのできない音楽だ。

まとめ

このEPは個人的に今まで出た全ての作品の中でもかなり好きだし、何より復活してくれて音源を出してくれたこと自体が嬉しくて仕方がない。

東京事変を全然聴いたことがない人だったり、これから聴いてみたい人はこの作品を聴けば東京事変が大体どんなバンドなのかということがわかると思うのでオススメしたい。

いつか生で見ることができたら良いなと思う。

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