5人組ロックバンドのネクライトーキー。
ギターの朝日廉さんが楽曲の作詞作曲を担当しており、とにかくポップで楽しい曲調と口ずさみたくなるキャッチーな歌詞が特徴。
そんなネクライトーキーのメジャーデビューアルバムである『Zoo‼』をようやく手に入れたので早速聴いてみた。
知らなかったエモーショナルな一面
この作品を聴く前に自分がイメージしていたネクライトーキーの楽曲といえば『おしゃれ大作戦』とか『こんがらがった』みたいなとにかく楽しくて何も考えず口をあけてよだれを垂らしながらでも聴けるような曲。
今回のアルバムは全体的にバンドとしてガッチリはまった感じのサウンドに聞こえて、とてもよかった。ギター2本をうまく使ったり、シンセを効果的に使っていて音楽的に変態的な感じの曲も多かった。
インタビューで朝日さんが、今回はバンドメンバーにも任せてみようというのが多かった気がすると話していた。
今作はバンドとしてさらに進化を続けているのが分かる作品だ。
細かいところまで聴くたびに新たな発見がある。
2曲目の「放課後の記憶」は、乗りやすくてやっぱりサビの歌詞も面白い。
なんかわかりかねる 秋も続く
子供の僕らが何も言わずに見ていた
放課後の記憶/ネクライトーキー
「なんかわかりかねる」というフレーズがとにかく頭に残る。
語呂合わせの部分もあるかもしれないが「分かりかねる」じゃなく「なんかわかりかねる」と表現するところに独特の作詞センスを感じる。
そして、放課後の記憶というタイトルや歌詞の通り曲に何となく哀愁を感じる。
9曲の「涙を拭いて」はシンプルにいい曲で、後ろでずっとピアノがソロみたいなフレーズを引いているところだったり、途中にギターが裏拍を刻んだり楽器に着目してみても楽しめる曲だ。
ラスサビに転調すると同時に全員でのシンガロングに移るところが何より最高なところでもある。
涙を拭いてまた笑ってよ
あぁ厄介な事ばかりだけど
それでもなんとかやっていこうよ
ほんでたまに愚痴をこぼそう
イントロのカッティングギターからテンションが上がる。
Aメロ、Bメロのゆったりとした展開からサビで一気に壮大になるところ、Cメロでは結局「ぽんぽこ節のなんたるか」を教えてくれないところがすき。
「あーるある言いたい~~」みたいな感じだけど、この曲は教えてくれない挙句「ヒトの分際で偉そうに!」といわれてしまう。
もっさの歌声の器
歌い方を大げさに変えているというわけでもないのに、楽しい曲も寂しい曲も自分のものにしてしまうところがもっさという人のすごいところだと感じた。
もっさ自身が作詞した「夏の暮れに」ではギターソロの後、曲のテンポが落ちてボーカルが語り掛けるように歌うパートでちょうどいい具合に力の抜けた感じの歌い方をしていて、ラストのサビが際立っていた。
ピアノの伴奏から始まるゴリゴリのバラード曲「深夜とコンビニ」は、コード進行が情緒的ないい曲でさらにもっさの底力が見える曲でもあった。
バラードとなるとやはりボーカルの声に大きな役割があるわけだけど、曲をしっかり自分のものにしていて素晴らしいしめちゃめちゃかっこいいと思った。
芯にあるのはポップな音楽
この作品でネクライトーキーのいろんな一面を見ることができたけど、やっぱり芯にあるのは楽しくてポップな音楽の要素で、今回のアルバムではエモーショナルな部分とポップな部分が共存している曲もたくさんあって面白い。
最後にとにかくキャッチーなネクライトーキーらしくて良かった曲を紹介して終わろうと思う。
1曲目の「夢見るドブネズミ」はサビの歌詞がキャッチーでテンポの速いネクライトーキーらしい曲だ。相変わらず歌声が曲にマッチしていて気持ち良い。
ちゅらちゅらちゅら
ちゅちゅちゅらちゅら鳴いてるような
ネズミ、偉そうにそこで立っていた
アルバムの中で一番楽しいのではないかと思う一曲。その名も「虫がいる」。
解説をすると、
「虫がつぶれて死んでいて、自分の足の裏を触ったらちょっとぬめっていて気分はマジで最悪。
らったったーららったったーらー」
っていう曲。
何となくわかる、最悪な時は叫びたくなるよねって・・
「ビヨヨヨーン。ハンバー――――グ!!」
の「ビヨヨヨーン」から始まるこの曲はとにかく北へ向かえばいいと教えてくれる。
北へ向かえば
北へ向かえばいいよ
つまんないぜ
でも僕は続いた
明るくポップな曲調で、北へ向かえば何もかもがうまくいってしまうような気がしてくる。
まとめ
こんな感じでレビューをしてきたけれど、聴きながら記事を書いてるうちにさらに良さに気付いていくばかりだし、どんどんサビを覚えていってしまう。
正直ネクライトーキーをなめていたところがあったのかもしれない、『ZOO!!』は自分の予想をはるかに超える1枚だった。
これからの、曲も楽しみでしょうがない。