ホラー映画はやっぱり怖いけれどなぜか見たくなってしまう。
今回は2009年のホラー映画「エスター」の感想を書いていこうと思う。
今まで見てきたホラー映画の中でも、相当な怖さだったこの映画は絶対に結末を見ないほうが面白いので、これから見る予定のある人は前情報なしに見てほしいと思う。
【視聴後の一言コメント】
ずっと感じる少女の違和感。
その正体が解明されてからのラストシーンの怖さは1級品。
人が怖い系を見たい人は必見!
お気に入り度:★★★★☆
作品情報
『エスター』2009年/123分/アメリカ
監督 ジャウム・コレット=セラ
製作 ジョエル・シルバー/スーザン・ダウニー
ジェニファー・デイビソン・キローラン/レオナルド・ディカプリオ
出演者 ベラ・ファーミガ/ピーター・サースガード/イザベル・ファーマン
【あらすじ】
赤ん坊を死産して悲嘆に暮れるケイト(ベラ・ファーミガ)とジョン(ピーター・サースガード)。その悲劇はふたりの結婚そのものを揺るがすだけでなく、悪夢にうなされ、つらい過去に悩まされるケイトのもろい神経にも打撃を与えている。表面だけでもなんとか普通の生活に戻そうと必死の夫婦は、養子を迎えることを決意。そして訪れた地元の孤児院で、彼らはなぜかエスター(イザベル・ファーマン)という名の1人の少女に惹きつけられる。だが、引き取ったあとでエスターの本性に気づき始めたケイトは、家族の身の安全を守るため、ジョンたちにエスターの愛らしい外見の裏に何が隠されているのかを知らせようとする。しかし、彼女の必死の警告は聞き入れられないまま時間が過ぎていき……。
感想・ネタバレあり
一口にホラー映画とは言っても「エスター」は、ホラー色の強いサイコ・サスペンス映画という感じだった。
前情報が全くなかったこともあって純粋に楽しめたし、細かい言動や表情にまで怖い要素が散りばめられていてとても面白かった。
少女に対する謎の違和感

エスターを見るにあたって、前情報が全くなかったとは言ったものの、ポスターにある「この娘、どこか変だ」というキャッチフレーズは目に入ってくるもので、ホラー映画でそんなことを言われたら相当なやばい子が登場するのではないかと思ってしまう。
しかし実際のエスターは始めからすごく純粋でいい子そうな雰囲気が漂っており、少しの間ホラー映画を見ていることを忘れてしまうほどだった。
歳の割に大人っぽい言動、何かとハイスペックすぎるところに違和感を感じてしまう。ロシア出身であるにも関わらず短期間で英語を身につけたり、難聴の妹との会話に使われる手話をすぐマスターしたりなど、所々に天才の片鱗を見せる。
基本的には素直でいい子の様な気がするのだけど、所々でかたくなに自分の意思を曲げないところもあった。
でもそんな子供もいないことはないだろうと思ったりもする。
エスターを最初からやばいやつかもしれないと思って見ていたことによって、逆に「なんだいい子じゃん」と思ってしまう序盤に違和感を感じるのだろう。
崩されていく家庭
最初はいい子だと思っていたエスターだが、だんだんと猟奇的な部分を見せ始める。
ここがこの映画のミソというわけではないので言ってしまうと、意地悪をされるクラスメイトを滑り台から落として骨折させたり、自分のことを施設に戻そうとするシスターのことを岩で殴ったり。
明らかに猟奇的な面が見え始めるのだが、それに最初に気づいたのは耳に障害を持ち手話で会話をする妹のマックスだった。
マックスはエスターに思うがままに支配されてしまい、もう一人の子供であるダニエルも脅されて従わされてしまう。
一番環境の変化に敏感な子供から取り入っていくところが計画性があって怖い。

この頃から母親のケイトはエスターになにかあるのではないかと疑い始めるが、父親のジョンは鈍感すぎてエスター の異変に全く気づく気配がない。
エスターはその自分に対する疑いを逆手にとってケイトを陥れようとする。
ケイトは第三子を死産してしまってから精神が不安定で、アルコール依存症の患者だったこともあったため、それが再び起こったのだと周りに思わせる様にしたのだ。
実際ケイトは精神異常があると疑われてしまい、ついには病院に入れられてしまう。
ここの展開は本当に子供かと疑ってしまうほどに計画的にスムーズに進んで本当に怖い。
エスター の真の目的が最恐
エスター の目的は最後の方までよくわからないままで、色々考察しながら見ていた。
そしたら後半の方で(これは前半からの伏線があったんだけど)、エスター の日記みたいなものに大人の男の人の写真が何枚も出てくるシーンがあって、そこで自分はひらめいた。
「エスターはパパが大好きすぎるんだ!!」
確かに思い返してみるとエスターはパパにだけは甘えていたし、最後までいい子供のままだった。
エスターはパパに対して何か特別な思いがあって、家から追い出されない様に防衛本能みたいな部分で残虐な行動をしているのかと思ったのだ。
でも結末は思いもよらぬ方向に行ってしまう。
エスターは実は33歳だった。え?
エスターは体が成長しない病気を持っており実は33歳の大人だったのだ。
ラストシーン、エスターはメイクアップして父親のジョンに言い寄るが、突っぱねられてしまう。
その時にエスターは「子供扱いしないで!」という言葉を残す。
エスター の真の目的は「大人の女としてみられる」ことだった。そう考えるとそれまでの行動一つ一つに意味が出てくる。
そこからのクライマックスは激動だけど、メイクのせいなのか女優の演技力なのかその事実が分かってからのエスター は大人の女の人にしか見えなくなってくる。
まとめ
いろんな場面で狂気的な部分が詰め込まれていてとても怖かったし、ラストシーンのどんでん返しは胸がざわつく怖さがあった。
ホラー映画のおきまり的な、いる様でいない演出だったり緊迫したBGMも相まって本当に怖い作品だった。
もう一回見ればわかるのかもしれない伏線もあった様な気がするけれど、なかなかもう一度見る気にはなれそうにない。